【最新】中小企業版SBT認定の取得要件が年々厳しく!2024年11月からの条件変更内容

最近「中小企業版SBT認定」という言葉を耳にする機会が増ました。
注目を集め中小企業版SBT認定の取得を目指す企業が増える反面、取得の要件は年々厳しくなっています。
実際に2024年に入りすでに条件が3度変更されています。(従業員数が500人未満から250人未満に変更)
そして、2024年11月から取得要件の変更がありました。
今回の要件変更はどのような影響を与えるのでしょうか。
最新の中小企業版SBT認定の取得要件を紹介します。
中小企業版SBT認定とは?
SBT(Science Based Targets)とは、気候変動対策として、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。
中小企業版SBTは、中小企業が自社の温室効果ガス排出量を削減し、持続可能な社会の実現に貢献するための取り組みです。
SBT認定には、通常版と中小企業版の2種類があります。
中小企業版SBT認定の条件に当てはまらない企業は、すべて通常版SBT認定に含まれます。
日本では、SBT認定を取得する企業が増加傾向にあります。
現在、日本でのSBT認定取得企業は1000社を超えますが、約8割が中小企業版SBT認定です。
環境への取り組みが進んでいるのは大企業ですが、なぜ中小企業版SBT認定の方が取得数が多いのでしょうか?
その理由は、認定要件の違いにあります。
最新(2024年11月)中小企業版SBT認定取得条件
SBT認定には中小企業版と通常版があり、取得後の内容は同じですが取得難易度に大きな違いがあります。
中小企業版はScope1,2のみ算定と削減が必要ですが、通常版はScope3まで算定の対象に入ります。
また、費用面でも通常版の方が数倍かかります。
これらの条件は、企業規模や事業内容によって異なる場合がありますので、最新の情報をSBTiの公式サイトでご確認ください。
中小企業版SBT認定を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
取得必須要件
- Scope1とScope2の合計排出量が10,000 tCO2e 未満である
- 海上輸送船を所有または管理していない
- 発電設備(再生可能エネルギーの発電設備は除く)を所有または管理していない
- 金融機関または石油・ガス部門に分類されていない
- 親会社が通常版SBT認定を取得していない
上記の5項目のすべてを満たす
取得追加要件
- 従業員数が250人未満
- 売上高が5,000万ユーロ未満(約80億円)
- 総資産が2,500万ユーロ未満(40億円)
- 森林、土地、農業 (FLAG:Forest, Land and Agriculture) 部門に分類されていない
上記の4項目のうち3項目以上満たす
特定のセクターの条件について
中小企業版SBT認定の対象外となる主なセクター
- 金融機関: 銀行、証券会社など、金融サービスを提供する企業
- 石油・ガスセクター: 石油や天然ガスの探査、生産、精製、販売を行う企業
- 森林、土地および農業(FLAG)セクター: 森林経営、農業、土地利用などを行う企業
これらのセクターが対象外とされる理由
- 排出量の複雑さ: これらのセクターでは、直接排出量だけでなく、バリューチェーン全体での間接排出量(スコープ3)が非常に複雑で、基準を適用するのが難しい場合があります。
- データの入手可能性: 排出量データの収集や検証が難しい場合があり、目標設定の精度に影響を与える可能性があります。
上記のようなセクターであっても、特定の条件を満たす場合は、中小企業版SBTの認定を受けることができる場合があります。
最新(2024年11月)からの変更点
中小企業版SBT認定の取得には削減目標の設定も必要です。
基準年を設定し、目標年に向けて削減目標を設定しなければなりません。
2024年11月から目標年と基準年が変更されます。
目標数値は、パリ協定が求める水準と整合したもので少なくとも年4.2%削減を目指します。
パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて「2℃より十分に低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という長期目標が定められました。
温室効果ガスの排出量を減らし、地球温暖化を食い止めるための目標は、CO2削減量によって3つのレベルに分けられます。
- CO2の削減量が最も少ないのが気温上昇を2℃以内に収める目標(2℃:図の黄緑)
- 世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(WB2℃:Well Below 2℃、図の黄色)
- 最も多いのが気温上昇を1.5℃以内に収める目標(1.5℃:図の水色)です。
SBTを設定する企業は、最低でも2℃、できれば1.5℃を削減目標の設定が求められています。
2024年11月から目標年と基準年が変更内容について
目標年
2024年11月以前
目標年2030年
2024年11月以降
目標年申請から5年から10年先の中で任意の一年間を設定する
(2024年に申請する場合は2029年から2034年から選ぶ)
基準年
2024年11月以前
基準年を2018年 ~ 2023年から選択します。
2024年11月以前
基準年を2015年 ~ 2023年から選択
中小企業版のSBT認定の取得条件は年々厳しくなっている
SBT認定は、自社の温室効果ガス排出量を科学的根拠に基づいて削減する目標を設定し、国際的に認められる取り組みです。
特に中小企業にとって、SBT認定は、サステナビリティ経営の推進、投資家からの評価向上、新たなビジネスチャンスの創出につながる重要な一歩となります。
しかし、SBT認定の基準は、年々厳しくなってきていることをご存じでしょうか?
例えば、当社のディエスジャパンがSBT認定を取得した2023年末時点では、従業員数500名未満の中小企業が対象でしたが、2024年10月現在の最新基準では、250名未満に引き下げられました。わずか1年足らずで、認定を受けるためのハードルが大幅に高まったことがわかります。
このように、SBT認定の基準は、年々厳しくなる傾向にあり、今後も対象となる企業が狭まる可能性は十分に考えられます。
早めの中小企業版SBT認定取得を推奨
中小企業版SBT認定の取得を目指すなら、早めに組みを始めることをおすすめします。
取得要件は年々厳しくなる傾向にあるため、遅れるほど難易度が上がり取得が困難になります。
早期に中小企業版SBT認定を取得することで、競合他社に比べて優位なポジションを確立しましょう。
中小企業版SBT認定に興味はあるけれど、どこから手をつければいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
ファストカーボンでは、お客様の状況に合わせて最適な支援を行い、スムーズな認定取得をサポートいたします。
まずは、お気軽にご相談ください。
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