【株式会社ミズタニ】脱炭素への取り組みは、今後どんな業種でも必要不可欠に。わかりやすいマニュアルと素早いサポートでSBT認定取得


- 事業内容
- 錠前と防犯金具の販売・施工、セキュリティシステムの構築・販売・施工、DIY用品の販売、建築金物の販売
- 企業サイト
- https://www.kk-mizutani.co.jp/index.html
株式会社ミズタニ様は、1919年(大正8年)に創業、錠前と防犯金具の商社として100年以上の歴史を持つ老舗企業です。
現在は国内ほぼ全ての錠前メーカーの製品を取り扱っているほか、入退室管理システムやスマートロックなどセキュリティシステムの構築・販売・施工も行っています。
「安心、安全、快適、そして、心の充実を実感できる社会に貢献する」を経営理念として環境経営にも積極的に取り組まれている当社がファストカーボンを導入した理由について、4代目経営者である代表取締役社長の水谷孝一様にお話を伺いました。
(取材日:2024年8月19日 インタビュアー:ディエスジャパン広報)
INTERVIEW LIST
株式会社ミズタニ様の事業内容について教えてください。
水谷様:当社は1919年(大正8年)の創業で、私が4代目にあたります。もともとは金物全般を扱う商社だったのですが、先代(3代目)のときに、日本の鍵は種類が大変多くて難しいという業界特徴があったことから鍵の商社に特化し、現在に至ります。
当社はメンテナンスに特化した商社で、国内ほぼ全ての錠前メーカーの製品を取り扱っていることが強みです。主な取引先は、金物メーカーやサッシメーカーのほか、DIYパーツとしてホームセンターに卸しているものもあります。

(初代水谷角三郎が水谷角三郎商店として創業したときの様子)
物理的な鍵のほか、近年はIoT(Internet of Things)技術を活用したセキュリティシステムも求められていますので、入退室管理システムやスマートロックなどの製品も取り扱っています。
例えば民泊などで使われているような、スマホを使って遠隔で鍵を開けられるといったシステムですね。したがって、当社は鍵専門の商社といっても、wifiやIoTの勉強も必要になっています。

(昭和10年の製品カタログ)
ミズタニ様はサプライチェーン上位の企業から脱炭素経営を求められたというわけではなく、率先して脱炭素の取り組みを進められていますが、それはなぜでしょうか。

100周年記念に実施した社員旅行の様子(マカオ・香港)
水谷様:確かに、当社はサプライチェーンに関連する企業から「CO2排出量を計算するように」といったことは今のところ求められていません。
しかし、当社は100年以上の歴史があります。お客様のおかげでこれまで100年以上事業を継続させていただいているので、歴史に甘えることなく、環境に配慮した経営というのは必然の課題として進めるべきだと思っています。
ミズタニ様がCO2排出量の算出をスタートさせた理由を教えてください。
水谷様:当社は東大阪に本社があるため、同じ東大阪を拠点とするFC大阪とゴールドパートナー契約を締結しています。以前からリユーストナーでディエスジャパン様にはお世話になっていましたが、改めてFC大阪をきっかけにつながりました。
ディエスジャパン様が中小企業向けのCO2排出量を計算できるサービスの取り扱いを始めたとご連絡を受け、環境経営の取り組みを進めていきたいと思っていたところだったので、よいきっかけだと思い、2024年4月に導入しました。
CO2排出量算出のシステムには様々なサービスがありますが、他のサービスと比較検討はされたのでしょうか。
水谷様:ファストカーボンを導入する前はCO2排出量の算出はほとんどやっていませんでしたので、同様のクラウドシステムも複数社比較検討をしました。
他のサービスは導入費用が高コストだったほか、CO2排出量算出のために新しい事務が増えるイメージを受けました。
反対にファストカーボンは、既にある会計データを活用することで算出ができるので、新しい事務が増えなさそうだ、という点が大きなメリットでした。
すでに当社のような中小企業は、近年、経理業務でインボイス制度や電子帳簿保存法など新制度への対応が目白押しでした。少ない人数で経理業務を行っていますので、CO2排出量の算出をはじめたいものの、これ以上新しい事務は増やしたくないというのが本音でした。
また、ファストカーボンはCO2排出量の算出だけに特化したクラウドシステムなので、他のサービスと比較してコストが抑えられる点も、すぐ導入を決めることができたきっかけです。
実際に導入されてみて、作業量や事務負担の変化はありましたか。
水谷様:当初のイメージどおり、新しい作業や事務負担が増えたという点はほとんどありませんでした。
初月はファストカーボンにアップロードするためのテンプレートを作成するために、既存の会計データの内容をテンプレートに紐づけるという作業が必要になりますが、ディエスジャパン様から頂戴した設定マニュアルがとてもわかりやすいものだったので、マニュアルを読めば十分自社でできるものでした。
細かい点でわからないこともでてきたのですが、すぐご担当者に教えてもらうことができ、スムーズに初期設定を終えることができました。不明点をメールで照会したのに、回答がすぐ電話でくる、といったスピード感に驚きました。なにからなにまでしてくださった、という印象です。
当社は複数の拠点があり、それぞれに経理スタッフがいます。今回CO2排出量算出を始めるうえで、経理について一部事務フローを変え、CO2排出量算出のためのデータがすぐ集まるような体制にしました。電力会社などからくる帳票もこれまで紙でしたが、メールなどweb上でのやりとりができるようにしました。
テンプレートデータができたあとは、代表の私が3ヶ月分をまとめてファストカーボンで計算していますが、データ集めから算出まで1時間もあれば十分できます。
ミズタニ様は算出したCO2排出量のデータを活用し、早速SBT認定も取得されていますね。
水谷様:当社は7月にSBT認定を取得することができました。この認定を取得することで「温室効果ガス排出削減にミズタニも積極的に取り組んでいく」という意思表示が、ステークホルダーの皆様に示すことができたのではと思います。
SBT認定の申請はすべて英語で行うのでその点は少々手まどいましたが、ここでもディエスジャパン様がすばやく照会に対応してくださり、スピード感をもって認定まで取得することができ、感謝しています。SBT認定の説明資料もとてもわかり易いもので、今何をしていて、次はこれをすればいい、というステップが解説されていて助かりました。
SBT認定を取得したことを社外に公表していますが、「なぜ問屋なのにSBT認定をとったのか?」と聞かれることもあります。多くはサプライチェーンの生存戦略として製造業や建設業の会社さんが取得することが多いのかなと思いますが、当社のような問屋が取得したことで、新しい取引先が増えるなど、目に見えた変化は今のところでていません。
しかし、こういったものは「同業他社より先に取得すること」が、当社がお客様に選ばれることへの差別化要因に少なからず貢献していくと考えています。
当社は健康経営優良法人を2024年に取得していますが、ゆくゆくは「健康経営は当たり前」になる時代がくると思います。脱炭素も同じで、そのような未来がくるということは、先に始めることが何よりも重要だと思います。
今後当社では採用向けの動画をつくる予定なのですが、脱炭素の取り組みについてもしっかり動画にのせていきたいです。
CO2排出量の算出を始めてから、想定していなかった変化はありましたか。
水谷様:ファストカーボンで算出した数値は、社内のSNSで結果を公表しています。そこでCO2排出量の算出を始めて意外だったことは、従業員が私が思った以上に脱炭素に向けて興味をもってくれたということです。
例えば営業車で移動する際にはガソリンを使うことになりますが、これをもっと減らせないのかなとか、紙で出している書類をペーパーレスに変えたらCO2を減らせるのでは、といったアイディアが従業員から出てくるようになりました。
今後は脱炭素に向けた取り組みをさらに加速するべく、有志の従業員を集めてプロジェクトチームをつくり、当社でできる取り組みを考えていこうとしています。
倉庫の電気を太陽光に変えたり、自動車リースの更新のときに、電気車など脱炭素につながる取り組みがあるのか検討するなど、脱炭素に向けた施策を実行していきたいですね。
今後はSCOPE3の算出まで進めていきたいと思います。ぜひ若い経営者にも脱炭素の取り組みについて進めていくように伝えていきたいです。
ご協力いただき、ありがとうございました。